「主婦がターゲット」では戦略は動かない。セグメンテーションで属性を掛け合わせ、コアターゲットを絞る方法をSTPのフレームで解説。リピーター客の共通点からターゲットを見つける実践法。
はじめに
「ターゲットは主婦です」——よく聞く言葉ですが、これ、実はターゲットとは呼べないかもしれません。マーケティングを始めようとするとき、多くの経営者がここでつまずきます。第10話では、セグメンテーションとターゲティングの基本を現場のエピソードを交えながら解説します。
「主婦がターゲット」はなぜ間違いか
主婦といっても、20代の専業主婦から60代のシニア主婦まで幅がある。子育て中の人もいれば子育て後の人もいる。働いている主婦もいれば専業の主婦もいる。持ち家と賃貸、都市部と地方でも生活スタイルはまるで違います。
これが「ターゲットを漠然と設定してしまう」典型的なパターンです。実際の打ち合わせで「夫婦がターゲット」「主婦層に向けて」という話をよく聞きますが、どちらも同じ問題を抱えています——属性が漠然としすぎているのです。
セグメンテーションとは何か——STPの基本
マーケティングにはSTPという考え方があります。S(セグメンテーション)→ T(ターゲティング)→ P(ポジショニング)の頭文字で、戦略を組み立てる基本フレームワークです。
セグメンテーションとは、市場の中のさまざまな人を特徴ごとにグループ分けすること。切り分ける軸は大きく2種類あります。
①デモグラフィック変数:年齢・性別・職業・年収・家族構成・居住地域など、数字で表せる属性。
②サイコグラフィック変数:価値観・ライフスタイル・趣味・行動パターンなど、内面や行動に関わる属性。
この2軸を組み合わせることで、「35歳・女性・群馬在住・世帯年収600万円・小学生の子ども1人・休日はカフェや地域イベントが好き」というように、顔が浮かぶレベルまで具体化できます。
「絞ると市場が狭くなる」は逆説
ターゲットを絞ると「市場が小さくなるんじゃないか」という声をよく聞きます。でも逆です。絞れば絞るほど、メッセージは刺さりやすくなります。「みんなに届けたい」と思って作ったメッセージは、結局誰にも届かない。「これ、私のことだ」と感じてもらえて初めて、人は動いてくれます。
リピーター客からコアターゲットを見つける
まず自分の既存客、特にリピートしてくれているお客さんの共通点を探すことから始めてください。年齢・居住地・来店のきっかけ・購入頻度——これを整理すると、自社にとってのコアターゲットが見えてきます。
接客での世間話(地元はどちらですか?お仕事は?)も、属性情報を集める有効な手段です。また過去エピソードで触れたアンケートも、サイコグラフィック的な情報を得るのに効果的です。
ターゲットが決まると、届け方も見えてくる
「港区在住・会社員・毎朝徒歩通勤・ポッドキャストを聴いている田中さん」が明確なら、届けるべき媒体はポッドキャストやXになる。ターゲット設定は「誰に届けるか」だけでなく、「どこで・どうやって届けるか」まで規定する戦略の土台です。
まとめ
- 「主婦」「夫婦」は属性が漠然としすぎている。デモグラフィック+サイコグラフィックを掛け合わせて絞り込む
- 絞ることで市場が狭くなるのではなく、メッセージが刺さりやすくなる
- リピーター客の共通点から、自社のコアターゲットが見つかる
- STPのS・Tが整ったら、次はP(ポジショニング)へ
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